芸術創造館でのヨガワークショップについて

お知らせのページにも投稿しましたが、9月7日(土)に大阪市の芸術創造館さんで、芸創講座『舞台俳優のためのヨガワークショップ』をやらせていただくことになりました。

「俳優のための」って普通のヨガと何が違うの?と何人かからお尋ねいただきましたので、ワークショップの内容について少し詳しくご紹介させていただきます。

手前から渡辺綾子さん、柿谷久美子さん。9月の開講に向け、テストレッスンのモニターをしてくれています

このワークショップは、ざっくりいうと「舞台に立つ俳優の心身訓練法としてヨガの手法を使ってみる」というものです。大まかな内容は、「アーサナ」と呼ばれるポーズをとったり呼吸法を行なったり瞑想をしたりと、普通のヨガと変わりありません。が、俳優が舞台での演技に活かすことを前提とした視点で行なっていく、というところが、通常のヨガクラスと違うところだと思います。

具体的には、例えばアーサナを行うにあたっては、どの関節をどんな風に動かすのか、ということを出来るだけひとつひとつ解説していきます。料理をするときに素材の味を知っているとバリエーションが広がるのと同じで、自分の身体がどんな風に動くかを知っていれば、表現における選択肢がぐっと広がるからです。
また、物理的に動かせるところを正確に動かすと、今まで「動かない」と思い込んでいたところが簡単に動かせたりといったこともよく起こります。可動域を広げることができれば、表現の幅をさらに広げることができます。
「表現の幅を広げる」というと何かとても大げさなことのように聞こえるかもしれませんが、例えば今までよりもゆっくり歩くことができるようになった、だとか、ただ立っていることが以前より楽になった、呼吸が深くなり声を出すのが楽になった、そんなシンプルなことでも十分に「表現の幅が広がった」と言えると思うのです。今までボリュームが5段階調整だったステレオが10段階になった、例えるならそんな感じでしょうか。
いちいち解説するので普通のヨガクラスより時間がかかってしまいますが、この「動かす箇所の解説」が、このレッスンの一番重要な部分のひとつと思っています。

これは、私自身が「アレクサンダー・テクニック」(長いので以下ATと書きます)のレッスンに通う中で学んできたことです。プロフィールにも書いていますが、芳野香さんが主宰する「スタジオK」に十数年通っておりまして、その中で、人間というのは持って生まれた身体をいかに知らないか、そして知ることによってどれほど動きが変わるか、という面白さに出会い、今に至るまで大変お世話になっています(レッスンの面白さはもちろんそれだけではないんですが)。
ちなみによく聞かれるのですが、私はATを「習っている」だけであって、「教えられる」わけでは決してありません。教えるには、教えるための専門的な訓練を受けて資格を得る必要があります。私自身はただ面白いから通っていて、レッスンで身についたことを演劇やヨガに活かせるだけです。十数年通っても、ATとは一体なんなのか私にはさっぱりわかりません(笑)。もちろん演劇やヨガについても「わかった」とは口が裂けても言えません。何事も、知れば知るほど何も知らない自分に気づいていくばかりです。そして自分という存在の小ささを知れば知るほど、なぜか楽しい気持ちになってワクワクするのです。

話が逸れましたが、とにかく「俳優のためのヨガワークショップ」とはそういった感じのことを目指しています。
ほかにもヨガを行うことで期待できる効果など詳しいことは芸術創造館さんのサイトに掲載していますので、お申し込み方法など含めてぜひぜひご一読ください。こちらです↓

私がヨガを始めたのは2013年、講師の資格を取得したのは昨年の秋です。
どんな風に資格を運用していこうかしばらく考えていましたが、やはり自分のフィールドである演劇に活かしたいと思いまして、今回のワークショップ開催にたどり着きました。もともと個人的にも演劇のために始めたものですし。
TwitterやFacebookで計画についてつぶやいたところ思いの外反響があり、芸術創造館さんから今回のお話をいただき本当にありがたく思っています。ほかにも興味を持った方から少しずつお声がけいただいてもいます。舞台俳優の身体訓練には潜在的な需要があるのだなと感じましたし、そうした需要に少しでもお応えできたらと思っています。

ご興味があればぜひぜひぜひお越しください。身体が硬いとかまったく気にしなくて大丈夫です。補助具を使ってポーズが取りやすいように工夫できますし、例えばポーズができなかったところで何を失うわけでもありません。できる範囲で、まるっきり自分のためだけにやるレッスンです。気楽にお申し込みいただければ幸いです。

皆さまのご参加、心よりお待ちしております!