激闘・平安美女ギャンブラー

ひきつづき、次回公演に関するお話。

前回のブログに書きましたとおり、私は数年前「宇治拾遺物語」に偶然出会ったことから今回の舞台化を考えはじめたもので、平安時代に詳しいわけではまったくありません。

ということで、作品の助けにするべくちょこちょこと資料集めをしています。京都に住んでいるのはこういうときとても便利です。
写真は、京都市下京区の「風俗博物館」で撮影してきた1枚です。

これは当時の資料をもとに作られた人形で、大きさは座った状態で高さ十数センチくらいだったと思います。ごく小さい人形なんですが、細かいところまで本当によくできていて、とても綺麗でした。

博物館のかたによれば、この人形のサイズに合わせてわざわざ生地から織り上げているので(人間サイズでは柄が大きすぎる)、相当高価なものなんだとか。さすがに数字はお聞きしませんでしたが、軽くめんたまが飛び出るほどのお値段であろうことは雰囲気から想像がつきました。とても贅沢な博物館です。
私もマハラジャの娘かなんかだったらこの衣装を舞台で再現したかったですが、小劇場の悲しい現実を涙目で受け入れるしかありません。顔だけインド寄りでもどうしようもないですね。

さて、そんな美しいお衣装を着て平安美女たちが興じているのは当時親しまれたボードゲームで、「バックギャモン」のようなもの、と説明がついていました。賭博の一種であるため、のちに朝廷が禁止したそうです。
一見優雅にみえるこの場面が、朝廷が禁止するほど危険視された賭博に興じる女ギャンブラーたちの激闘を描いたものだったとは驚きです。奥のお皿に乗せられたお菓子のようなものの中には砂金の大粒でも隠されているのでしょうか。言われてみれば、右の女性の据わった目などアカギばりの鋭さではありませんか。いったいどんな恐ろしい一手を考えているのでしょう。ざわ・・・
いえ、博物館の説明文にこの女性たちが賭けをやってると書いてたわけではないんですが。

ちなみに次回公演で賭博を描く予定はいまのところありません。作品とほとんど関係ない話になってしまいました。
人間、たかだか千数百年経ったくらいでそうそう変わらないものですね、と無理やりまとめておきます。

博物館は7月31日まで展示替えのため一時閉館、8月から再び開館になります。
ご興味のあるかたはぜひぜひ。